研究概要 |
本研究では,将来光コンピューティングの1つの形態となりうる時空間光情報処理のため,時系列な処理を一切含まない,2次元的なパターンの発生法として注目されている自発的パターン形成の研究を行っており,有機フォトリフラクティブ素子や液晶空間光変調素子を含む非線形共振器において発生される光パターンの解析と制御を行った.まず,有機フォトリフラクティブ材料を用いた非線形光共振器による光パターンの制御を目指して,有機フォトリフラクティブ素子の製作と物性評価を行った.光導電性材料のPVKとアゾ色素であるDR1を基本とする有機フォトリフラクティブ材料をITO電極付きガラスで挟んだ構造の素子を作成した.2光波混合の光学系において,印加電圧の上昇とともに,回折光の上昇し,フォトリフラクティブ効果を示すことが解った.同時に,液晶空間光変調素子を含む非線形光リング共振器におけるパターンの形状について示した.印加電圧により制御される素子特性に応じて発生するパターンの形状に対し,帰還光学系のフォーカスのズレとパターンピッチの特定の依存関係の存在を実験的,理論的に明らかにした.これは,Optics Communications誌に掲載予定である.また,形成パターンは,ビームの形状に強く依存し,そのパターンの安定性について,ビームサイズとパターンピッチとの特定の関係を見出した.これは,国際会議CLEO/Pacific Rim'97のポストデッドラインペ-パ-として発表した.さらに,発生パターンを詳しく調べると,メインの空間周波数成分だけでなく,高次成分に2つの系列を含むことが明らかとなった.そして,帰還光学系中に空間周波数フィルタを挿入することにより,その系列内で,形成パターンを任意に選択することが可能であることが解った.これは,7月サンディエゴで開催されるSPIE annual meetingにて発表予定である.
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