本研究は、解像型チェレンコフ望遠鏡のしきい値を100GeV以下に下げるために最も有効なトリガーの方法を、現在計画されている大口径望遠鏡に適用することを念頭に置いた計算機シミュレーションにより調べ、最適なトリガーロジックを、実際にハードウェアーで実現するための研究開発を行った。 ガンマ線および陽子による空気シャワーの計算機シミュレーションを行い、夜光等による雑音を最も効率良く除去し、陽子シャワーも最大限に落とし、かつエネルギーしきい値を下げられるトリガーロジックを調べた。ガンマ線のトリガー効率、それに対する10^8Hzの夜光バックグラウンドとその変動の影響、トリガーレート等を総合的に評価した結果、比較的簡単なトリガー条件で、100GeV以上に対して45%以上のトリガー効率を得られることがわかった。1ボックス16本のPMTからなるPMTユニットに5個以上の光電子が入り、3個以上の光電子が入るPMTが少なくとも2本あるという条件で、100GeV以上に対して45%、200GeV以上に対して93%のトリガー効率を得られることがわかった。また、そのとき、夜光バックグラウンドの2倍または2分の1の変動に対して、トリガーレートの変動は3%以下であった。これを基に、PMTユニットボックスからの信号と、各PMTからの信号、さらに、全体のPMTヒット数を反映するヒットサム信号と、全体の光量を反映するアナログサム信号を組み合わせて、トリガーロジックを形成した。使用したモジュールは、TKOのディスクリ&サムモジュール、サムアンプ、CAMACディスクリ、その他NIMモジュールである。
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