本研究では、衝撃波の構造の温度異方性による効果を研究した。強磁場・希薄プラズマ中で粒子の衝突が無視され、粒子の旋回半径が小さい場合は、一般に磁場に沿った方向と垂直方向の温度が異なる。磁場平行方向と垂直方向の熱エネルギーの分配は、微視的プラズマの熱力学に左右されている。温度異方性が存在すると、例えば衝撃波の圧縮率が従来の衝撃波のジャンプ条件より修正され、衝撃波によりフェルミ加速率やそのエネルギースペクトルも再考を要する。 温度異方性を有する衝撃波のジャンプ条件を解析的に解くことにより、衝撃波の性質および粒子の加速率を調べた。磁場に垂直方向と平行方向へのエネルギー配分は、CGL近似の下ですべて磁場に平行方向にエネルギー散逸が起きた場合と、逆にすべて垂直方向にエネルギー散逸があった場合の両極端の場合を考え、温度異方性の取りうる上限と下限を求めた。また、温度異方性が大きくなると温度異方性によるプラズマ不安定(ミラー不安定やファイア-・ホ-ス不安定)で異方性が解消されることを考慮し、臨界線形不安定になるまで温度異方性が解消されると仮定した付加条件も加えた考察をした。大きなマッハ数での衝撃波では、臨界線形不安定による温度等方化のプロセスが働くと、従来の衝撃波のジャンプ条件と圧縮比が変わらなくなることが理解された。
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