研究概要 |
パルサーによって加速された相対論的荷電粒子によって作られるシンクロトロン雲をX線で観測することによって、パルサー周辺の荷電粒子の空間分布とエネルギーを明らかにし、パルサー風あるいはパルサー・ジェットの加速機構と、パルサー周辺からのX線・ガンマ線発生の仕組みを究明することを目的とする研究を行なった。 このために、X線天文衛生『あすか』によって観測されたパルサー(Crab Pulsar,Vela Pulsar,PSR B1509-58,PSR B1951+32,PSR B1610-50,PSR B0656+14,PSR B1046-58,PSR B1929+10,Geminga,PSR B1055-52)に関して、周囲に見られる拡散X線源のスペクトルとX線光度を調べ、パルサー雲のX線光度がパルサー回転エネルギーの1.3乗に比例するという関係を明らかにした。 さらに、この成果を生かして、銀河面上の未同定ガンマ線源の正体を探る研究を開始した。Comptonガンマ線天文台衛星のEGRET検出器によって100MeV以上の高エネルギーバンドで検出された銀河面に沿って分布するガンマ線源の多くはまだ未同定で正体が不明であるが、CrabやVelaに類似した若いパルサーであるという説が有力である。われわれは上記の成果に基づき、X線シンクロトロン雲によってパルサーの存在を検証するという方法を提案した。未同定ガンマ線源2EG1811-2339は1997年に『あすか』によって観測され、予想通りに非熱的なスペクトルをもつ拡散X線源を発見した。これは、このガンマ線源がパルサーを含む可能性が高いことを示すものである。
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