研究概要 |
高度化された集積化知能システムを実現するためには、(1)小さく薄くても、大きな誘電・強誘電特性をもつ集積化知能システム極限材料の創成。および(2)Si素子上への高・強誘電体のヘテロ成長。の両技術が不可欠である。我々は、レーザーMBE法を用いて様々な人工格子を形成し物質創製の面から、極限集積化シリコン知能エレクトロニクスの実現を検討した。中でも、Biを含む他のペロブスカイト類縁化合物は、d軌道の電子数に対応して、誘電体(Ti,V酸化物)から磁性体(Mn,Fe,Co酸化物)、超伝導体(Cu酸化物)と広範な電気・磁気特性を示す。電磁気学の見地からは不可能ではない強磁性と強誘電性の共存が実現すれば、同一領域に双極子分極と、スピン分極という異なるメカニズムでの記録が可能な新しい情報記録媒体の創製が期待できる。 本年度は、(1)誘電特性発現の限界サイズの理論的/実験的考察、(2)強磁性と強誘電性が共存する極限材料薄膜化、(3)非酸化物系(カルコゲナイド系)強誘電体薄膜のSi基板上への成長、(4)強誘電体材料の脳型メモリへの適用化検討を実施した。さらに、極限知能を材料の立場から実現することを目指し、我々は脳型メモリを提案した。特に、脳の有する諸機能が強誘電体材料の様々な物性により代替できることを見い出した。このような研究の中で、(1)より誘電体の量子論的限界サイズ(膜厚)は15〜20Åであることが明らかになった。これはデバイス設計に指針を与えるものである。また(2)より電荷(+、-)と、スピン(N,S)による、4値の情報記録デバイスの可能性が示された。今後(4)の実現に注力し、ペロブスカイトエンジニアリングにより、今後の新しいメモリ材料の発展を実現したい。
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