研究課題/領域番号 |
09226213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森田 健治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10023144)
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研究分担者 |
曽田 一雄 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70154705)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 水素の同位体置換 / 同位体効果 / プロトン伝導性セラミック / 反跳粒子検出法 / 水素拡散 / HD混合分子再結合 / 表面解離吸着 / 捕獲 |
研究概要 |
本研究の目的は、酸化物セラミックス中に注入された重水素と空気水蒸気中の軽水素との置換反応係数およびその逆反応の係数を反跳粒子検出法を用いて測定し、置換反応の同位体差を解析することである。酸化物セラミックス試料にSrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-δ>が用いられた。 5keVD_2^+イオンの照射によりDの注入された試料がH_2O(蒸留水)に10分間浸された時、Dは殆ど全てHと置換するが、5keVH_2^+イオンの照射によりHの注入された試料がD_2O(純水)に10分間浸された時、Hは全然Dと置換されないことが判明した。 又、Dのイオン注入された試料がH_2O水蒸気にさらされた時の初期のHの置換係数は、4.6×10^<12>/cm^2であり、Hのイオン注入された試料がD_2O水蒸気にさらされた時のDの置換係数(4.6×10^<10>/cm^2・s)の100倍であることが判明した。酸化物セラミックスにおけるこの様な大きな水素置換の同位体差は、本研究で初めて観測された。この水素置換の大きな同位体差は、水素置換が表面におけるOHの解離吸着、Hの拡散、HD混合分子再結合による引き抜き反応と、その抜けあとへのHの捕獲により生じることを表わしている。この場合、同位体差は表面における解離吸着かあるいは拡散に寄される。 このモデルを確認するために行われたH^+、D^+の同時注入によるH、Dの捕捉実験は、定常状態におけるDの捕捉量がHの捕捉量の1.3倍であり、注入水素の再放出がHD混合分子の再結合によることを示した。 又、5keVH_2^+照射により内部に捕捉されたHの、0.5keVD_2^+照射により表面に注入されたDとの置換係数は、5keVD_2^+照射により内部に捕捉されたDの、0.5keVD_2^+照射により表面に注入されたHとの置換係数よりかなり小さいことが判明した。このことは、拡散が大きな同位体差の要因の1つであることを示している。
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