研究概要 |
結合したboson-fermion系におけるトンネル現象の例として、cis-polyacetyleneにおける準安定相の安定相への崩壊を解析した。T=0Kでは、この崩壊は準安定相の中にポラロンと呼ばれる安定相のbubbleの、量子力学的な核形成を通して起こると考えられる。ポラロンは Δ(x;x_0,k_0)=Δ_0-k_0v_F{tanh[k_0(x+x_0)]-tanh[k_0(x-x_0)]} で表される場で、「半径」|x_0|と境界での傾きk_0^<-1>で指定される。 今までの解析では、ポラロンのエネルギーが「可積分条件」tanh(2k_0x_0)=k_0v_F/|M_F|を満たす経路に沿ってしか求められなかったので、核形成の解析もこの経路に沿うものに限られていた。本研究では中原が開発した汎関数行列式の方法を用いてポラロンのエネルギー・プロファイルを求め、これを任意のパラメタ領域に拡張し、(x_0,k_0)平面のあらゆる経路に沿う核形成をWKB近似の枠内で解析した。その結果、我々が発見したトンネル確率を最大にする経路は、可積分曲線に沿う経路にくらべ、10^9程度大きなトンネル確率を与えることが見出された。また、古典的にはトンネル経路は1次元に局在していることも示された。(Nakahara,Ogawa and Ohmi:投稿準備中。) 現在、仮想束縛状態の補正および、電子間のCoulomb相互作用の効果を研究中である。
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