研究概要 |
本研究は地球環境システムに大きな影響を及ぼす大気-海洋間の放射輸送過程のモデリングとシミュレーションを理論・観測両面から実現しようとするものである. 具体的には,大気放射輸送の鍵を握る大気エアロゾルの光学特性導出アルゴリズムを提案し,ADEOS/OCTS,POLDERの近赤外波長データを用いたエアロゾル・リトリ-バルに成果を挙げている.特に,通常用いられてきた散乱光強度だけではなく,新たに偏光度をも併用して,精度の向上を図った.今年度は特に,地球大気モデルの精密化を目指し,上記大気エアロゾルモデルの検証に加え,大気の垂直構造の影響・地上物体や海陸境界域における周辺効果の見積もり・海および海面モデルの再構築を考慮した. 総合的な放射輸送システムを構築するには,種々のデータセットが必要である.大気エアロゾルモデルを含む地球大気,海洋(陸)などに関するデータセット,多重散乱計算結果のデータベース,更に,開発アルゴリズム検証のための実験及びテストデータも必要となる.これらのデータは併せて,地球大気基礎データベースとして有用なものになる.データ及び計算機システムは,当研究室にて稼働中である.シミュレーションに際し,汎用性・更新性の高い柔軟な構造を持つソフトウエアの開発に留意した.
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