研究概要 |
高強度2024Al-3Fe-5Ni粉末(RS)合金のミクロ組織微細化法として,メカニカルアロイング法(MA),および熱間押出し-温間圧延法を検討し,その高速超塑性特性について研究した. その実験の方法として,(1)2024Al-3%Fe-5mass%Niアトマイズ粉末に43hのMAを加え,熱間圧粉によって厚板(MA材)を作成.それから切り出した試験片の高温圧縮試験を行った.(2)押出し材に,適切な条件の温度圧延(圧延温度:573K,圧延率:55%)を付加し板材(RS材)を作成し,温度T_1=713〜793K,ひずみ速度ε=10^<-3>〜10s^<-1>の条件で引張試験を行った.その際,の組織制御法として,(a)昇温速度(低速昇温:50K/min,高速昇温:155K/min),(b)焼きなまし温度が,超塑性特性に及ぼす影響を調査研究した. 得られた研究結果は下記のとおりである 1.MA材では,約200nmの,またRS材では約500nmサイズの微細亜結晶粒組織を有する板材を得た. 2.MA材では,773Kでm≧0.3となり高速超塑性を示すが,そのしきい応力は大きい.MA材の温間圧延を試みたが割れを発生し易く圧延が困難であった. 3.各変形温度への高速昇温によって,RS材は固相線温度(=775K)に近い773の高温度から低温度の713Kの温度範囲で,3s^<-1>以上の高ひずみ速度で300%以上の破断伸びが示し高速超塑性を発現した. 4.高速超塑性及びその低温度化に対し,結晶粒組織の微細化が本質的に極めて重要である. 5.MA材とRS材の高速超塑性変形に対し粒界すべりの役割が重要であるが,試験温度の低下に伴いその寄与割合が低下し,転位クリープの寄与が増すと考えられた。
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