研究概要 |
我々は、これまでにシリコン系薄膜のの太陽電池への応用を目的に、高品質a-Si:H, μc-Si:Hまたその合金系薄膜(Si1-xGex,Si1-xCx)の低温成膜技術の開発と組成および相傾斜化の導入による太陽電池の高効率化に取り組んできた。同時に組成傾斜による光注入キャリアの輸送、緩和特性の評価をおこなってきた。具体的には、(1)a-Si:H薄膜の膜厚方向にGeの科学組成が連続的および局所的に異なる傾斜半導体薄膜の作製とそのキャリア輸送特性に関する研究。(2)ジクロロシラン(SiH_2Cl_2)/H_2の定常プラズマにSiH_4添加量を連続的に変化させることで、膜厚方向でアモルファスから微結晶まで連続的に相変化している傾斜構造の設計に関する研究の2項目の検討を通じて、800nm以上の長波長領域での光吸収特性の向上を目指した研究を行っている。 その結果、平成9年度は、以下の結論を得た。1)過渡光電流(TOF)計測から、この傾斜薄膜では、主に伝導帯側にポテンシャル勾配が形成されていること。2)SiH_2Cl_2系から20Å/sの高速で高光導電性a-Si:H(Cl)およびμc-Si:H(Cl)の膜堆積が可能であること。3)μc-Si:H(Cl)の結晶性および光学吸収特性が、少量SiH_4添加により制御が可能なこと。4)価電子制御が可能なこと。5)太陽電池デバイスの特性向上に対して傾斜機能化の導入が有効であること。
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