研究概要 |
モ-バイルコンピューティング環境の特徴は,通信回線として無線を利用しているために,信頼性が低く,また性能も有線通信に比べて相対的に劣る点である.また,ビジネスマンの個人情報(スケジュールや住所録)やセールスマンの顧客情報など,様々な情報が多くの場所に点在していることも特徴である.今年度、我々はこのようなモ-バイル環境において,データーベースを高い信頼性をもって効率的にアクセスするための複製管理方式の研究を行ってきた. 我々が提案する複製管理方式は,複製群をドメインと呼ぶいくつかの管理対象に分割して,それぞれにリーダと呼ぶ管理サーバを配置する.これらのリーダを中心としてアクセス管理が行なわれる.まず,各ドメイン内の複製が置かれているサイトにロック要求が出て,その中でレーダが更に他のドメインのリーダをロックするという階層構造となる.読み込み要求は,サイトとそのドメインのリーダ間でのバ-ジョン情報の交換を含むアクセスのみとなる.従って,サイトの通信コストが非常に軽減されており,相対的にリーダ間の通信に負荷がかかる構成となっている. 我々は,これを現実の通信路にそった形でシミュレーションを実施し,従来の複製方式に大きく劣ることはないことを確認した.また,モ-バイル環境のように,通信品質が均質でない環境において評価すると,我々の方式が優れているということが確認できた. また、応用として、ネットワークに接続された複数の計算機上に仮想環境を実現する「分散仮想環境」の一貫性管理に適用した。従来の集中型の配送サーバに比べて、各ドメインにおけるリーダを通過するパケット数が削減され、負荷が減少することが確認された。
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