研究概要 |
本研究の目的は,コンピュータとネットワークを利用した学習者中心の協調学習を実現するための能動型データベースシステムを開発することである.本研究では,データベースの内容と各学習者の操作履歴情報を有効活用して,協調学習を誘発する適切なアウェアネス情報を生成するための高度な協調能動型データベースを構築した.さらに,協調学習における能動型データベースの可能性を探るため,テキスト型仮想現実環境MOOを利用した協調学習環境と文章構造化技術を利用した協調学習環境の構築を行った. (1)Knowledge Awareness Filtering Knowledge Awareness (KA)は,“知識に気付く"という意味であり,学習者に対して,討論のきっかけとなる知識や他の学習者の行動に気付かせる情報である.KAの目的は,学習者間の討論の誘発であるが,学習者の要・不要に関係なく情報を提供するため,学習の妨げとなることがある.従って,本研究では,学習者の学習状態に応じて,KA情報を提供するFiltering機構を構築した.実験的な評価の結果,本手法が,学習意欲を軽減させることなく,協調学習へのきっかけを適切に与れることが分かった. (2)SGMLを利用した添削作業に基づく協調学習環境 学習者と教師が協調しながら行う添削作業を,コンピュータを用いて分散環境で可能とするシステムCoCoAを提案した.また,実験によりCoCoAの学習環境における添削に必要となる添削記号や支援機能を抽出した.その考察結果をもとに,添削文章の交換方式としてCCMLを提案した.さらに,システムを試作し,評価実験を行い,CoCoAとCCMLの有効性を示した. (3)テキスト型仮想現実環境MOOを利用した協調学習環境 本研究では,MOOを用いて構築された仮想環境及びそれを利用した協調学習とその実験的な評価を行った.我々は,仮想的な協調学習環境VirsicleとそのグラフィカルユーザインタフェースMooErを構築した.この仮想学習環境は,バーチャルクラスルームとして試用し,試験を含むすべての授業,演習がそこで行われた.半年にわたる実験的な評価の結果,Virsicleは協調学習に適し,学習者の積極的な参加による学習効果の向上が期待できることがわかった.
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