研究課題/領域番号 |
09231211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80016154)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 人工不斉源 / 触媒的不斉合成反応 / オキサゾリン-ホスフィン型配位子 / 不斉アミノ化 / 不斉ヒドロシリル化 / パラジウム触媒 / ロジウム触媒 |
研究概要 |
本研究は、高次構造を有する化合物の合成に際し、有用な新規不斉コントロールユニットと反応手法の開発を目的として行った。まず、人工不斉源を用いる不斉助剤の開発としてcis-2-アミノ‐3,3‐ジメチル‐1-インダノールを設計した。これまでにこの不斉源から誘導したアシルオキサゾリジノンを用いて、不斉アルキル化反応等を開発し、このアミノアルコールが優れた不斉助剤であることを明らかにしている。今回、このアミノアルコールから誘導したオキサゾリン部位とホスフィン部位を分子内に合わせ持つ新規オキサゾリン-ホスフィン複合型不斉配位子を設計し、これを用いる触媒的不斉合成反応について検討した。 まず、ラセミ酢酸アリル誘導体に対する窒素求核剤の不斉求核反応について検討した。その結果、アリル部位の末端に2つのアリール基が結合した対称型酢酸アリル誘導体に、オキサゾリン-ホスフィン複合型不斉配位子とパラジウム触媒存存下窒素求核剤を作用させると、95%以上の極めて高い光学収率で目的とするアリルアミン誘導体が生成することを見出した。同様の反応は、天然物であるL-バリン由来の配位子を用いても行なわれているが、その選択性を凌駕する好結果を得ることができた。また、末端がアルキル基の対称型酢酸アリル誘導体では、選択性の低下が観測されたが、一端に嵩高いフェニル基を2つ導入した非対称酢酸アリル誘導体を用いれば、この場合にも高エナンチオ選択的に反応が進行することを明らかにした。 次に、このオキサゾリン-ホスフィン複合型不斉配位子を不斉ヒドロシリル化反応へ適用した。ロジウム触媒と不斉配位子の存在下、ジフェニルシランによりケトンの還元を行なうと、極めて高いエナンチオ選択性で対応するアルコールが得られることを見出した。この反応は、芳香族ケトンのみならず、立体障害の差があれば脂肪族ケトンヘの適用も可能で、従来にない高い選択性が達成できた。
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