研究課題/領域番号 |
09231220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
清水 真 三重大学, 工学部, 助教授 (30162712)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ジアステレオ面選択性 / L-セリン / L-システイン / (+)-デオキシビオチン / フィトスフィンゴシン / テトラヒドロキシ-LCB / ネガマイシン / AI-77-B |
研究概要 |
本研究は金属分子固有の配位機能の違いを活用し、ジアステレイオ面識別反応において生成物各異性体の任意合成手法の開発を目的としている。このような配位場を提供できる金属分子の構造、不斉誘起に寄与する金属とヘテロ原子の組み合わせを各種の求核試薬とアルデヒドあるいはイミンの反応をとりあげ、アルデヒドあるいはイミンの安定配座の解析から金属によるノンキレーションおよびキレーション遷移状態を考慮することにより付加の方向を分析し、付加反応における高選択的立体制御法の開発をおこなった。さらに付加体を立体選択的に合成し分け、生理活性化合物へ変換した。出発化合物であるアルデヒドはL-システイン塩酸塩、L-セリン、アスパラギン酸およびリンゴ酸から官能基変換することにより合成、あるいはメソ酒石酸をリパーゼを用いるデシンメトリ化反応により光学的に純粋な形で合成した。またイミンはそれぞれのアルデヒドをベンジルアミンと脱水縮合し合成した。このようにして合成したアルデヒドあるいはイミンへの求核付加反応ではそれぞれの反応系で求核試薬として金属アセチリド、金属ジチアニド、トリメチルシリルシアニド、ベンジルオキシメチル金属およびアリル金属試薬を用い、反応条件を適切に選択することにより目的の付加体を99%de以上の選択性で得ることができた。さらに立体特異的に得られた付加体を官能基変換することによりビタミンHとして広く用いられている(+)-ビオチンの前駆体である(+)-デオキシビオチン、細胞間の情報伝達に重要な役割を果たしているフィトスフィンゴシンおよびテトラヒドロキシ-LCB、胃潰瘍に効果のあるAI-77-Bのアミノ酸部位、さらに抗生物質であるネガマイシンに立体特異的に導くことができた。このように光学活性アルデヒドおよびイミンへの求核試薬の付加反応において、キレーションコントロールとそのようなキレートの形成のおこらないノンキレーションコントロールの二つの概念に基づく立体化学の制御法により、両ジアステレオマ-の作り分けが容易にできることを明らかにすることができた。
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