研究概要 |
1)カルボマイシンBのリレー全合成:メチル2,3-アンヒドロ-5,6-O-シクロヘキシリデン-β-D-アロフラノシドの3位へ位置選択的に2-メチル-2-プロペニル基を導入し、ひき続き側鎖のヒドロボレーション-酸化、2位のデオキシ化、5,6-位のシクロヘキシリデン基の除去とそれに続く5,6-位間の酸化的開裂により(2R,4R,5S)-5-ホルミル-2-メトキシ-4-[(2R)-2-メチル-3-(トリメチルアセトキシ)プロピル]オキソランを合成した。次にトリブチル[(Z)-3-(tert-ブチルジメチルシロキシ)アリル]スタナンと反応させて、(2R,4R,5S)-5-[(1S,2R)-2-(tert-ブチルヂメチルシロキシ)-1-ヒドロキシ-3--ブテニル]-2-メトキシ-4-[(2R)-2-メチル-3-(トリメチルアセトキシプロピル]オキソランを合成した。次いで、4位側鎖の末端へのジメトキシホスホリルメチル基の導入、5位側鎖のオレフィン部分のヒドロボレーション-酸化のあと2段階の酸化を経て、カルボノライドBのC1〜C10フラグメントと等価な化合物を合成した。この化合物からのカルボノライドBへの誘導はすでに報告されているので、上記フラグメントが合成できたことは、カルボノライドBのリレー全合成が達成できたことになる。 2)1級、2級ジオールの2級カルビノール中心への位置選択的メチル基の導入:1-フェニル-1,2-エタンジオールとチオニルクロリドから1段階で得られる2-オキソ-4-フェニル-1,3,2-ジオキサチオランに(CH_3)_3Al(3モル量)を反応させたところ、2-フェニル-1-プロパノールが94%の収率で得られた。同様に、2-オキソ-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)メチル]-1,3,2-ジオキサチオランに(CH_3)_3Al(2モル量)を反応させたときにも、2-[(tert-ブチルジフェニルシリル)メチル]-1-プロパノールが収率62%で得られた。一方、2-オキソ-4-(2-フェニルエチル)-1,3,2-ジオキサチオランに(CH_3)_3Al(5モル量)を反応させると、反応はイオウ原子上でおき、4-フェニル-1,2-ブタンジオールが93%の収率で得られた。これらの結果は、ジオキサチオラン環の4位がカルベニウムイオン性をもつと、炭素原子上で反応がおきることを示唆している。
|