研究概要 |
末端にアレニル基を有するキラル一級アルコールの光学活性体合成 末端にアレニル基は、特異な反応性を有することから、近年有機合成化学上注目を集めている官能基である。鈴木らはアレンとアルキンの還元的結合における1,5-遠隔不斉誘起を見い出し、2-メチル-3,4-ペンタジエン-1-オール(1)のメトキシメチルエーテル体を、トコフェロール側鎖合成の出発原料として有効に用いた。しかし、1の光学活性体合成には、光学活性な3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸を出発原料とし、多数の合成段階が必要であった。筆者らは、1のラセミ体が容易に合成可能なことに着目し、生体触媒を用いた光学分割を試みることとした。検討の結果、Pseudomonas cepacia由来のリパーゼを用いたアセチル化、Candida antarctica由来のリパーゼを用いた加水分解反応という2つの鏡像選択的反応を組み合わせることによって、両鏡像体ともに96%e.e.以上で得られるようになった。
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