研究課題/領域番号 |
09232228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 研一 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (80110823)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 高次構造 / コイル-グロビュール転移 / 単分子観察 / 電子顕微鏡 / 分子内相分離 / 蛍光顕微鏡 / 単一高分子鎖 / ポリビニルピロリドン |
研究概要 |
荷電高分子鎖の折り畳み構造の制御方法の確立を目指して研究を行った。本年度は荷電高分子としては長鎖DNA分子に注目し、コイル-グロビュール転移との関連で、その高次構造変化について系統的に研究を進めた。得られた主要な成果は次の通りである。 (1)側鎖にアミノ基を有するポリエチレングリコール(PEG-A)を加えることによるDNA分子の高次構造変化を、蛍光顕微鏡による単一分子観察法を活用することにより調べた。その結果、PEG-Aを添加すると、DNAの一分子内にグロビュール構造とコイル構造が共存する、分子内相分離構造が形成されることを見い出した。それに対して、中性の水溶性高分子であるPEGを用いたときには、DNA分子鎖はコイルからグロビュールへ不連続に変化した。透過電子顕微鏡による観察から、実際に分子内相分離しているDNA鎖の形態を計測することにも成功した。同様の分子内相分離構造は、中性の高分子である、ポリビニルピロリドンを凝縮剤として用いたときも生成することがわかった。 (2)数μMの微量の鉄(III)イオンにより、DNA鎖は不連続な高次構造変化を行い、コイルからグロビュール状態へと移行することを、単分子計測により明らかにした。この状態の溶液に、アスコルビン酸を加え、鉄イオンを還元すると、DNA鎖はグロビュール状態からコイル状態に転移することを、蛍光顕微鏡観察から確認した。単一高分子の高次構造が、溶媒の酸化還元電位によって大きく変化することを見い出したものとして、この研究成果は意義深いと思われる。また、蛍光顕微鏡上のブラウン運動の計測から求めた流体力学的半径は、電子顕微鏡によって得られる凝縮体(グロビュール)のサイズとよく対応することも明らかとなった。
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