研究概要 |
本研究は,リビングカチオン重合を用いて,構造が制御された官能基を持つシーケンシャル星型ポリマーの合成法の確立を目的としている。本重点領域研究平成8年度の研究において,構造が制御され,かつ枝の数の多い星型ポリマーの生成反応の最適条件を検討したところ,ジビニル化合物によるポリマー結合反応では,一般に枝が長くなると,立体障害により枝の数と収率がともに減少し,長い枝を多数持つ星型ポリマーを高収率で合成することは困難となることがわかった。そこで本年度は,枝ポリマーの立体障害には影響を受けにくいと予想されるCore-First法を用い,種々の星型ポリマーの合成を検討した。 1.Core-First法による星型ポリマーの合成 ごく短いイソブチルビニルエーテル(IBVE)のリビングポリマー(10量体以下)と二官能性VEを反応させて得た可溶性のミクロゲルの中心核へ新たにモノマーを加え,中心核よりリビング重合を行うことにより,ポリマー結合反応より高収率で分子量の大きな星型ポリマーを合成することが可能となった。 2.枝の末端に官能基を持つ星型ポリマー リビングミクロゲルからIBVEを重合して得たポリマーの成長末端にマロネートアニオンを反応させて,枝の末端にマロネート基を導入した。このマロネート基を加水分解,脱炭酸することで,末端にカルボキシル基を持つ星型ポリマーが得られる。 3.星型ブロックポリマー リビングミクロゲルからIBVEを重合し,その成長末端からp-t-ブトキシスチレン(tBOS)を重合して,ビニルエーテルとスチレン誘導体のブロックポリマーを枝とする星型ポリマーを合成した。
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