研究課題/領域番号 |
09232254
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
讃井 浩平 上智大学, 理工学部, 教授 (30053664)
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研究分担者 |
青木 隆史 上智大学, 理工学部, 助手 (80231760)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 分子識別 / 感温性 / 相転移挙動 / 水素結合 / 高分子コンプレックス / ウラシル基 / アデノシン / グアノシン |
研究概要 |
申請者らは、ポリ(6-アクリロイルメチルウラシル)(PAU)を合成し、PAU水溶液の500nmにおける透過率測定を、恒温槽を使い温度制御しながらUV-vis分光光度計を用いて行った。精製水中におけるPAUは、低温側では沈澱を生成し透過率は0%となった。その透過率は、約50℃より上昇しはじめ、約70℃で水溶液は100%を示しPAUは溶解した。また、PAU水溶液中にアデノシン(Ado)ならびにグアノシン(Guo)をそれぞれ溶解させて透過率測定をした。Adoを添加してもPAUの相転移挙動が観察されたが、Adoの添加濃度を上げることによって、PAUの相転移挙動がより低温側で認められた。一方、Guo添加系の場合、Ado添加効果と比較すると、Guoを高濃度溶解させないとその相転移挙動の低温側へのシフトは認められず、さらには、高温側での透過率も100%に達しなかった。Adoは、ウラシル基と相捕的な水素結合性の分子間相互作用を起こしてコンプレックスを形成することが知られている。従って、Adoが低濃度であっても効率良く、ポリマー側鎖に存在するウラシル基とコンプレックスを形成して、PAU自身の高分子コンプレックス形成を阻害し、PAU水溶液の相転移挙動が低温側にシフトしたものと考えられる。しかしながら、Guo添加においては、PAUと相捕的な水素結合性相互作用をすることができず、高濃度のGuoを添加することによって非特異的にポリマーの相転移挙動を僅かながら変化させるに留まったものと思われる。すなわち、ポリマー側鎖のウラシル基と相捕的に相互作用することのできるAdoと、相捕的には相互作用できないGuoとの間に、PAUの相転移挙動に大きな差異が認められた。 PAUは、水溶液中においてそのポリマー自体が高分子コンプレックスの形成と解離を生起し、さらには相捕的に相互作用をする化合物に対して分子認識能を発現できるポリマーである。
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