研究概要 |
1995年兵庫県南部地震による斜面崩壊の資料を収集した.まず,地震後次第に拡大した代表的な斜面として,鶴甲の崩壊を取り上げ,地震直後から1年半の期間に撮影された空中写真を収集し,崩壊の拡大と余震および主震後の降雨と関連性を調べた.その結果,1995年5月および6月の降雨,それぞれ137mm,255mm,が崩壊の拡大にもっとも寄与したことが分かった.これに対し,余震による拡大は明確でなかった. 次に,地震後1995年10月末までに新たに発生した崩壊を空中写真から判読し,その地形的特徴を分析した.その結果,まず縦断形状について,地震後の降雨による崩壊では直線型斜面の抱懐が76%と最も多いが,地震時には見られなかった凹型斜面の崩壊も起こっている.また数は少ないが凸型斜面にも起こっており,地震による崩壊と雨による崩壊の中間的特徴を示している.次に横断形状について,地震後の雨による崩壊では直線型斜面が74%と多く,谷型地形でも発生している.また数は少ないが,雨のみでは見られない尾根型斜面の崩壊も見られ,ここでも地震による崩壊と,雨による崩壊との中間的特徴を示している.したがって,この期間に発生した崩壊は,主震後新たに発生したように見えるにも関わらず,その地形的特徴は雨のみによる崩壊とは明確にことなっており,この種の崩壊も地震によりこうむった傷が原因となって地震後に崩壊したものと判断される. これらの研究は代表者および分担者により国内外の学会等で発表された.
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