研究課題/領域番号 |
09236224
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
米満 賢治 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60270823)
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研究分担者 |
岸根 順一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80290906)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | ポーラロン / 自己束縛 / 幾何学的位相 / 梯子系 / 次元クロスオーバー / d波超伝導 / π-d電子系 / 金属絶縁体転移 |
研究概要 |
微小磁性体及び分子磁性体の磁気モーメントのトンネル現象には電子の量子性が強く反映されている。磁気モーメント自身は巨視的なゆっくり変化する量であるが、それは微視的かつ速く運動する電子がになっているからである。それらは断熱波動関数をとおすと、より明確になる。ベリ-の幾何学的位相がπの奇数倍になるか偶数倍になるかにより、経路積分の干渉が弱めあうか強めあうかを決め、前者の場合はトンネル振幅の消滅するという現象が以前から報告されていた。これに似た現象はいろんな系で現われるが、ここで問題にしたのは磁性、伝導、格子変位がすべて絡み合い、かつ異方的な超伝導が起こる場合である。現実には結晶化が困難で微小なサンプルしか得られない、局所的反強磁性相関をもつ有機導体に当てはまる可能性が高い。有機分子の柔らかさのために荷電体付近で局所的に格子が歪み自己束縛がおこるとき、そのような荷電体の運動に付随して、確かにベリ-の幾何学的位相が生じることを、厳密対角化による多体電子波動関数と、半古典的経路積分による動力学、さらに有効モデルの解析的解を使って理論的に示した。これは磁性と格子変位が複合して生じる新しい現象であるが、そのときd波の超伝導電子対形成がおこり伝導に大きな作用を及ぼすことがわかった。このような磁性と伝導の絡み合いは系の次元性や幾何学的特性に大きく依存している。例えばドープされた梯子系の場合は、偶数足梯子の場合に非磁性体かつd波の超伝導になることが予言されていたが、現象におこる2次元性を理論的に計算することにより、これまでにない新しい次元クロスオーバーが起こることと、それが実験をうまく説明することを示した。ほかにπ電子とd電子が1次元的かつ強磁性的に結合する系ではd電子の反強磁性相関のために長距離斥力ではじめて絶縁体になるという新しい現象を見出した。
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