研究概要 |
レーザー光により微小な液滴を電極上の任意の位置に配置し,液滴と周囲の溶液の間の電子移動反応を電気化学的に誘起するとともに,その過程を顕微分光・電気化学法により直接的に測定することを試みた。その結果,半径5μm以上の液滴については,液滴/水界面を経た電子移動速度は液滴サイズの減少とともに大きくなることを見いだした。これは,水中から球形の液滴界面への物質供給は3次元的であり,液滴サイズの減少により液滴の表面積/体積比が増大することによるサイズ効果であることを明らかにした。さらに,電子移動速度の界面電位依存性についても検討し,これをマ-カス理論からの予測と比較検討することができた。 一方,半径5μm以下の液滴について全く異なる電子移動速度の液滴サイズ依存性が観測された。即ち,半径5μm以下の液滴における界面電子移動速度は液滴の表面積/体積比では説明できず,単位表面積あたりの電子移動速度定数は液滴サイズの減少とともに遅くなった。界面電位依存性,電子移動と共役する液滴/水間のイオン移動の効果,さらには界面活性剤の添加効果などの実験から,半径5μm以下の液滴における特異な界面電子移動速度は液滴/水界面の構造の変化によるものであることを明らかにした。微小な球形液/液界面の特徴的な現象を初めて明らかにした。
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