研究課題/領域番号 |
09237245
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
三方 裕司 奈良女子大学, 理学部, 助手 (10252826)
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80214401)
棚瀬 知明 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50207156)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | クラスター / ルテニウム / 鉄 / 結晶構造解析 / 電極 |
研究概要 |
1.本研究では、新規ヘムエリトリン類似骨格を持つRuあるいはFe多核錯体を電極上に配向制御して整列させ、酸化還元反応における電子移動過程の制御ならびに反応メカニズムの解明を行い、さらに不斉酸化還元反応への応用への可能性を探索を目的としている。本年度は鉄(III)四核ならびRu(III)二核クラスターの合成ならびにクラスターの電極表面への連結のための新規化合物の開発を行った。 2.1)鉄(III)四核錯体:アラニン錯体Na[Fe_4(dhpta)_2(O)(OH)(L-ala)_2]・6H_2Oを合成し、そのX線結晶構造解析を行った。μ-オキソ間に水素が存在していることがわかった。このことは、Robertらにより指摘された類似の構造を持つマンガン錯体について、Hoffmanらが提案している光合成系における水からの酸素発生モデルに関連して重要であると議論されている。本研究の鉄(III)四核錯体も類似の構造を持っていることから光合成系の酸素発生と関連して興味深い。2)Ru(III)二核クラスター:[Ru_2(μ-O)(μ-O_2CCH_3)_2(HBpz_3)_2]及び[Ru_2(μ-O)(μ-O_2CCH_3)_2(HBpz_3)_2]を合成しそれらのX線結晶構造を行った。3)[Ru_2(μ-O)(μ-O_2CCH_3)_2(HBpz_3)_2]の電気化学:CV測定により、μ-アルコキソおよびμ-フェノキソ架橋Ru二核錯体ではRu(II,III)混合原子価状態が、一方、HBpz_3を用いたμ-オキソ架橋ではRu(III,IV)混合原子価状態が安定に存在しうるということが判明した。また、プロトンの脱着によるクラスターの酸化還元挙動のチューニングの可能性を見いだした。これらはルテニウムクラスターを用いた酸化還元触媒の設計にとって有用な情報である。3)クラスターの金電極に連結用の配位子としてHS-(CH_2)_n-O-C_6H_4-CO_2Hを開発した。 3.以上の様に、ノンヘム類似骨格を有する機能性金属クラスターによる電極表面の機能設計を目指す本研究の推進のための準備が整いいつつあり、今後の進展が期待される。
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