研究課題/領域番号 |
09238208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
千葉 一裕 東京農工大学, 農学部, 助教授 (20227325)
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研究分担者 |
多田 全宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (60111639)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 電解酸化 / ユ-グロバ-ル / 反応場 / ディールスアルダー反応 / キノンメチド |
研究概要 |
生物が生産する多様な化学物質は、酵素や細胞膜、あるいは生体高分子の複合体を反応場として、極めて穏和な条件の下で合成される。このような穏和な条件における高い選択性を有する反応を有機合成化学反応として確立することを目指し、特定の反応を促進する新しい反応場の構築、反応場における分子の活性化と反応をキ-ステップとした天然物の全合成を行った。 これまでの研究から、過塩素酸リチウムを溶解したニトロメタン中にフッ素樹脂繊維を分散すると、この繊維表面で種々のDiels-Alder反応が著しく促進されることが明らかになった。そこで今回、ユ-カリに含まれる皮膚癌活性化抑制作用や抗マラリア活性を有する一連のフェノール系天然物を、反応場を使った有機電解反応によって合成しようとした。天然物の合成はフッ素樹脂表面において、フェノールの酸化により生成する不安定なキノンメチドとテルペンとのhetero Diels-Alder反応をキ-ステップとした。本反応場ではhetero Diels-Alder反応が極めて効率良く進行し、高収率で付加環化生成物が得られた。最終的に、皮膚癌活性化抑制作用を示すことが知られる6種類のユ-グロバ-ルを初めて合成し、さらにその絶対立体配置を決定した。 本反応系では溶液に、弱いルイス酸としての作用があると共に、高い極性を示すため、出発物や反応中間体を排除する効果がある。また、固相表面は疎水性であるが、殆どの有機物との親和性も低いため、固液両相から排除され、種々の付加環化反応が促進されるものと考えられる。このような作用は、水溶液中において、SDSのような微細なミセルを形成する両親媒性物質にも見られることが明らかになり、電解法と組み合わせることにより、従来法では合成が困難であった多くの付加環化生成物を得ている。
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