1)有機マグネシウム-希土類金属複合系による高選択的付加 Grignard反応剤をDiorganomagnesiumに変換した後、希土類金属塩化物を混ぜ合わせると高活性な求核反応剤を効率良く得ることができる。BuMgBrあるいはBu_2Mgを作用させてもエノール化によりほとんど付加体を与えないβ-テトラロンに対し、有機マグネシウム反応剤を塩化イッテリビウムにTHF中-78℃で作用させ、一定時間攪絆した後作用させた。反応剤調製時間と付加体の収率との関係を下に示す。Bu_2Mgを用いると5分以内に反応剤の調製が終了した。また、Bu_2MgとYbCl_3とから調製した反応剤に過剰のケトンを作用させた。β-テトラロンとの反応ではBu_2Mgの49%に当たるモル数のブチル基が求核種として反応する。2-ヘプタノンとの反応では132%のモル数に当たるブチル基が反応する。 2)gem-二亜鉛種に対する連続的カップリング反応 有機マグネシウム-希土類金属複合系による高選択的付加に関し、上記のような成果をあげることができたので、有機二金属種についての展開を試みた。ジヨードメタンから調製したgem-二亜鉛種に対して、バラジウム触媒存在下、カップリング反応を試みた。一つの炭素上の二つのC-Zn結合を段階的にC-C結合に変換する新しい分子構築反応である。
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