研究分担者 |
宮浦 憲夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10002049)
巽 和行 名古屋大学, 物資科学国際研究センター, 教授 (10155096)
榊 茂好 熊本大学, 工学部, 教授 (20094013)
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
飛田 博実 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30180160)
|
配分額 *注記 |
89,500千円 (直接経費: 89,500千円)
1999年度: 30,500千円 (直接経費: 30,500千円)
1998年度: 30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
1997年度: 29,000千円 (直接経費: 29,000千円)
|
研究概要 |
典型元素-遷移金属間結合の本質の解明に努めるため,次の6研究テーマを計画研究として設定し,各班員が実施,代表者がこれを総括した.主な研究成果は次の通りである. 1)典型元素-遷移金属間飽和結合錯体系の構築とその反応性(小澤文幸担当・班長) 14族元素-白金結合をもつ一連の錯体の構造と反応性について系統的データの集積に努め,還元的脱離反応やアルキン挿入反応に及ぼす元素の特性を明らかにできた.ルテニウム錯体触媒によるアルキンヒドロシリル化反応機構の完全解析に成功した. 2)遷移金属錯体とインターエレメント結合の相互作用と反応過程に関する理論的研究(榊 茂好担当) 10族遷移金属錯体に対するインターエレメント結合の酸化的付加反応について理論的解析を試み,特異な非平面遷移状態を見いだした.10族遷移金属一典型元素結合エネルギーの系統的評価にはじめて成功した. 3)前周期遷移金属-カルコゲン結合の特異性と反応(巽 和行担当) 16族元素-6族遷移金属間多重結合の選択的構築法を確立するとともに,それらを構成単位とする一連の高次異核金属クラスターの自在合成に成功した. 4)ジホウ素化合物の遷移金属触媒反応(宮浦憲夫担当) 白金,パラジウム,ロジウム錯体によるジホウ素化合物の活性化・切断反応を利用する一連の触媒反応を開発し,有機合成におけるそれらの有用性を多くの実例を用いて検証した. 5)遷移金属元素を含む新規単核及び多核不飽和結合系の構築とその反応性(飛田博実担当) 遷移金属-ケイ素二重結合をもつ錯体が金属の種類を超えて一般的であることを数多くの合成例をもって実証し,それらの構造と反応性について系統的データの収集に成功した. 6)有機配位子の遷移金属錯体間移動反応(小坂田耕太郎担当) 含イオウおよび含ケイ素有機配位子の金属間移動反応について検討し,高配位架橋元素を含む特異な架橋2核錯体中間体の単離と構造決定に成功した. 以上のように,3年間の研究を通じて,典型元素-遷移金属間結合の特徴が明らかとなり,今後のこの分野の研究の発展への指針を得ることができた.
|