研究概要 |
有機セレン化合物を反応の仲介反応種として分子にフッ素を組み入れる方法を検討し,次の新しいフッ素化法を見い出したので,その応用展開を検討している。 1.フッ化ベンゼンセレネニルを用いる電子欠損アルケンへのフルオロ-セレネニル化反応ニフッ化キセノンとジフェニルジセレニドを反応させ,塩化メチレン中,フッ化ベンゼンセレネニルを調製する条件を確立した。また,アクリル酸メチルを2-ベンゼンセレネニル-3-フルオロプロビオン酸メチルに好収率(NMRで50%以上)で変換できた。ベンゼンセレネニルは-20℃で数時間分解することが判ったので,反応性の低いアルケンに対しては濃度,反応溶媒などの効果的に選択する必要がある。次年度の課題としたい。 2.ベンゼンセレノラート陰イオンの1電子還元力を活用した分子内ラジカル環化を経た,2,2-ジフルオロ-γ-ラクタムの合成 窒素にアルケニル基を有する1-プロモ-1,1-ジフルオロアセトアミドをベンゼンセレノラート陰イオンにより1電子還元し,ジフルオロアシルラジカルを調製し,分子内還元し,ジフルオロアシルラジカルを調製し,分子内還元を経て,末端ラジカルを水素又はセレノ基で捕捉することを基幹反応として,3-フェニルセレノアルキル-2,2-ジフルオロ-γ-ラクタムを収率70〜90%で合成する方法を確立した。本ジフルオロ-γ-ラクタムは新規含フッ素ラクタムである。
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