研究課題/領域番号 |
09240217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
八島 栄次 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50191101)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 高速液体クロマトグラフィー / 多糖誘導体 / セルロースフェニルカルバメート / アミロースフェニルカルバメート / キラル充填剤 / 光学分割 / 不斉識別 |
研究概要 |
1.天然由来の酵素を用いた酵素重合法により、様々の分子量を有する、分子量分布の狭いアミロースの合成を行ない、3,5-ジメチルフェニルカルバメートに変換し、シリカゲルに担持し、そのキラル識別能をHPLCで調べた。さらに、アミロース誘導体の還元末端をただ一点でシリカゲルとスペーサーを介して化学結合させた充填剤の調製も行い、その不斉識別能を評価した。その結果、分子量が大きいほど、光学分割能もよくなる傾向が見られた。また、分子量が比較的小さい(重合度約60)アミロース誘導体はクロロホルムに可溶であったので、光学異性体との相互作用をNMRを用いて直接観察することができた。これらアミロース誘導体存在下、様々なラセミ体の^1HNMRを測定したところ、多くのラセミ体ついてエナンチオマーに由来するピークの分裂が観測された。これは、クロロホルムを溶離液に用いた化学結合型固定相による光学分割の結果とよく対応し、HPLCでポリマーにより強く吸着するエナンチオマーの方が、NMR測定でより大きくシフトした。以上の結果をもとに、分子モデリングソフトを用いて、相互作用をシュミレーションしたところ、これまで詳しく解明されていなかったアミロースカルバメート誘導体の不斉識別機構について、分子レベルで議論を行うことが可能になった。 2.NMRなどからの情報が得にくい、クロロホルムなどに不溶の多糖誘導体と各光学異性体との相互作用エネルギーを分子力場・分子動力学計算を駆使したコンピュータシュミレーションで見積もった。3つの異なる手法で計算を行い、相互作用エネルギーを求めたところ、いづれ場合も、相互作用エネルギー等に差はあるものの、HPLCの結果をほぼ再現することができた。NMRや計算で得られた知見は、より光学分割能の高いキラル固定相の分子設計に今後大いに役立つものと期待される。
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