研究課題/領域番号 |
09240222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (80113538)
三方 裕司 奈良女子大学, 理学部, 助手 (10252826)
棚瀬 知明 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50207156)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ポルフィリン / 酸素発生 / 糖 / PDT |
研究概要 |
1.本研究では、ポルフィリンに高い細胞親和性を持たせPDTに応用することを目的として、分子中に糖分子を含む水溶性ポルフィリンの合成とその細胞毒性の評価を行った。 2.ポルフィリン1分子あたり4分子あるいは8分子の糖を結合したポルフィリンの合成を行い、その光照射下での殺細胞効果について検討した。化合物は、NMRおよび紫外・可視吸収スペクトルにより確認した。次に化合物のHeLa細胞に対する光毒性の評価を行った。光照射時間に依存して明らかに殺細胞効果が大きくなることがわかった。次に、薬剤とHeLa細胞を2時間接触させた後洗浄し、8分間光照射を行った後24時間培養した後の生存細胞数を調べ、光照射のみの時の生存細胞数を100%として化合物の光毒性を見積もった。水酸基を保護されたグルコースを連結した化合物において、特に顕著な光毒性が観測された。興味深いことに、グルコースを結合した化合物では糖の水酸基の保護によって毒性が高まるのに対し、他の糖を有する誘導体では水酸基の保護の効果はほとんど観測されなかった。またこれらの化合物の光照射下での一重項酸素(^1O_2)発生能をジフェニルイソベンゾフラン(DPBF)の^1O_2による分解反応によって見積もったところこれらの化合物はヘマトポルフィリン(HP)と同程度の一重項酸素発生能を有し、さらに化合物間に顕著な光増感活性の差は認められなかった。 3.以上より、化合物間の光毒性の差は主に細胞親和性に依存し、水酸基を保護したグルコースは特異的に細胞内に取り込まれやすいものと思われる。今後糖分子を連結したポルフィリンおよびより組織透過性の高い長波長領域の光を吸収するクロリンについても同様に光毒性の検討を行い、糖分子の種類、糖鎖の長さ、保護基の影響、化合物の水溶性および金属イオンの導入が光毒性に与える影響を調べる。さらに、動物試験を実施する予定である。
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