研究課題/領域番号 |
09240227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中島 秀喜 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (20192669)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 硫酸化アルキルオリゴ糖 / 抗HIV作用 / MAGIアッセイ / CCR-5 / CXCR-4 / ウイルス吸着阻害 |
研究概要 |
硫酸化アルキルオリゴ糖や植物抽出液にみられる多糖体の抗HIV作用機序の解明を試みるために下記に示す実験系を作成した。HIVの感染は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質のgp120と標的細胞膜上のCD4分子とが結合することでコンフォメーションの変化が起こり、gp120-CD4複合体がCXCR-4やCCR-5などのケモカインレセプターと結合し、gp41の疎水性部分が露出して細胞膜と融合する。すなわちケモカインレセプターがHIV感染におけるコレセプターとして作用し、ウイルスエンベロープと細胞膜との融合、ウイルスの侵入へと進んでいくことが最近明確にされた。我々はHIV感染におけるコレセプターであるCCR-5、CXCR-4に対する薬剤の影響を検討するために、MAGI(multinuclear activation of galactosidase indicator)-CCR-5細胞を用いたアッセイ系を確立した。すなわち、HIV-1のLTRの下流にβ-galactosidaseを結合したプラスミドを導入したCD4+HeLa細胞に、さらにヒトCCR-5遺伝子を導入した細胞を作成した。この細胞は、もともとCXCR-4をもっているため、T細胞指向性HIVにもマクロファージ指向性HIVにも両方とも感染可能となっている。この細胞にHIVを感染させると、プロウイスルDNAから転写、発現したTatタンパク質が、導入されているLTR/β-galに作用して、galactosidaseの発現を促す。感染後の細胞のgalactosidase発現の有無を検討することで、HIV感染の可否を知ることが出来る。この感染系に試験物質を加え、使用するウイルス株をマクロファージ指向性のものか、T細胞指向性のものか区別することでCCR-5またはCXCR-4とウイルスとの結合におよぼす影響を知ることが出来る。さらにCCR-5またはCXCR-4遺伝子を導入してこれを過剰発現させた細胞を作成し、ウイルス粒子の吸着を直接知る実験系でも、試験物質のウイルス吸着に対する直接的な阻止効果を検討する。 今まで試験してきた結果、硫酸化アルキルオリゴ糖のDL-110は、ヒト末梢血マクロフェージを感染標的細胞とした実験系ではT細胞指向性HIVに対するのと同様に、マクロファージ指向性HIVにも抗ウイルス活性がみられた。今後は、MAGI-CCR-5細胞を用いた感染系やCXCR-4、CCR-5を過剰発現した細胞を用いて、アルキルオリゴ糖の作用機序をさらに詳細に解明していく。また、HIVを可溶性CD4で前処理しておいてMAGI-CCR-5に感染させた場合のアルキルアリゴ糖の抗ウイルス活性を検討することで、HIVgp120-CD4複合体とCCR-5との結合に及ぼすアルキルアリゴ糖やその他のウイルス吸着・侵入に影響を及ぼす薬剤の作用機序を検討していく予定である。
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