研究課題/領域番号 |
09241213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
民谷 栄一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (60179893)
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研究分担者 |
村上 裕二 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (70272995)
阪口 利文 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10272999)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1997年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | GFP / ヒト染色体 / 組み替え大腸菌 / セントロメア / クロマチン |
研究概要 |
本研究では原子間力制御系を基礎としたニアフィル-ド光学顕微システムと超高感度光計測・解析システムを連結することにより、生体機能の精密解析を行った。今回は、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子を導入した細胞とヒト染色体を測定材料として選び、これらの立体像(トポグラフィー像)とニアフィル-ド蛍光像の同時精密計測を検討した。 本システムを用いて蛍光性タンパク質であるGFPの遺伝子を導入した組み替え大腸菌を測定したところ、大気雰囲気下及び液体培地中双方の条件下において単一の大腸菌細胞から発する近視野蛍光像および蛍光スペクトルをトポグラフィー像と同時に得ることができた。なお、本システムでは、プローブ先端の近接場光を用いた蛍光像であり、励起されている領域はプローブ先端から50-100nmの範囲内と考えられる。すなわち、蛍光像としては細胞表面付近を観察していると考えられる。一方、トポグラフィー像と近視野蛍光像の比較により大腸菌細胞間で蛍光強度のばらつきがあることが明らかになった。これは、GFPの蛍光が翻訳後の酸化により生ずるために生じる酸化の進行度に個体差があるためと考えられた。また蛍光スペクトルは509nm付近にピークを与え、GFPに基づくものであることが示唆された。 次に、ヒト培養細胞由来のM期染色体を試料として、核酸を染色する蛍光試薬であるSYBR^<TM>Green I(励起波長490nm、蛍光波長520nm)を用い、立体像と蛍光像を観察することを検討した。ヒト染色体は、培養細胞であるヒト正常リンパ球のRPMI1788株より調製した。培養液中にコルセミド添加後37℃で16時間インキュベートした。コルセミドはコルヒチンと同様に微小管の合成を阻害し細胞周期をM期に固定する生理活性を持つ。この性質を用いて細胞周期を同調させた後、遠心分離によって回収した細胞から界面展開法によって染色体をカバーガラス上に固定、風乾させた。試料の観察は、大気雰囲気下常温常圧で行った。励起光源には波長488nmのAr^+レーザーを用いた。3本の染色体の立体像、その蛍光像を比較した。染色体それぞれの大きさ、セントロメアの位置、表面またはクロマチンの凝集パターンが確認できる。これら形態学的な知見が得られたことは重要で、特に顕著な特徴を示した染色体は、長さ8〜10μm、セントロメアの偏心程度から第4もしくは第5染色体であると考えられた。また染色体全体から蛍光を発しているのが確認され、今回用いたSYBR^<TM>Green Iの染色特性に依存したものと考えられた。
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