研究課題/領域番号 |
09242214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森永 正彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50126950)
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研究分担者 |
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50293676)
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 電子構造 / 鉄 / オーステナイト / 格子緩和 |
研究概要 |
不規則合金の中の原子の局所配列、いわゆる短範囲規則配列については、古くから研究されており、かなりの合金で明らかにされている。しかしながら、合金中の構成元素の原子半径の差に由来する“原子の格子点からの局所変位"につていは、ほとんどわかっていないのが現状である。格子変位型の変態はもちろんのこと、通常の相変態を理解する上でも、原子の局所変位の問題を明らかにする必要がある。 本研究の目的は、その一例として、鉄オーステナイト中の炭素原子近傍の鉄原子の局所変位の電子状態を計算し、炭素原子からの距離とともに振動しながら減少していく特徴的な局所変位の物理的意味を明らかにすることにある。電子構造の計算には、DV-Xα分子軌道法を用いた。炭素原子を中心とするクラスター模型を作成し、Cohenらの実験によって求められている原子変位パラメータを使って、鉄原子の局所変位をそのクラスターの中に再現させた。また、比較のために、原子変位が全くない仮想クラスターを使って同様な計算を行った。 炭素-鉄原子間の結合次数は、炭素原子から最も近いところにある鉄原子とのみ大きな値を示し、炭素原子はその他の鉄原子とはほとんど相互作用していないことがわかった。この計算結果は、メスバウァー効果の実験結果と良く対応している。一方、鉄原子同志の結合次数はいずれも大きく、鉄原子が炭素原子の周りで変位することによって結合次数がさらに大きくなった。このように、炭素-鉄原子間の短範囲な相互作用によって第1近接鉄原子は変位する。しかし、第2近接より遠いところにある鉄原子の協調的な長範囲の変位は、専ら鉄原子同士の相互作用を最遠化させるために起こっていることが本研究よりわかった。
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