研究概要 |
本研究課題に関し平成9年度の実施した研究はnear β Ti合金のω相析出とそのβ→α"(斜方晶マルテンサイト)変態及びβ→α(六方晶)変態に及ぼす影響とAl-Li系合金の時効初期過程の研究に大別でき、その概要を以下に示す. (1)near β Ti合金のω相析出とそのβ→α"(斜方晶マルテンサイト)変態及びβ→α(六方晶)変態に及ぼす影響 near β Ti合金は400ないし200℃の温度域で準安定なω相を析出し,続くβ→α"(斜方晶マルテンサイト)変態を抑制するが,逆に拡散律速のβ→α(六方晶)変態ではα相の核生成位置となり変態と促進することを明らかにした。そのメカニズムを検討し,結果はMaterials Transaction,JIMの相変態特集号に掲載された。現在,更に,それらの詳細について検討中である。 (2)Al-Li系合金の時効初期過程の研究 高温で溶体化したAl-Li合金を低温で時効すると,はじめに組成分配を伴なわずにLi原子が規則位置に入るcongruent ordering(Ll_2型)が生じ,続いてスピノ-ダル分解によって高Li領域と低Li領域に分離し高Li領域はLl_2型のδ'相になるが,低Li領域は再び不規則相へ変態すると予想されている。実際にこのような過程が生じるのかどうかを高分解能透過電子顕微鏡で検討した。具体的にはイメージングプレートを用い規則反射のみを用いて逆フーリエ像で解析した。結果は理論的な予測に極めて類似した構造が観察でき,Khachaturyanらのモデルの妥当性が検証できたと考えている。この結果は本年7月にハワイで開催される環太平洋国際会議(PRICM-3)で報告する予定である。
|