研究概要 |
Ni_3Al(L1_2),NiAl(B2)およびTiAl(L1_0)など次世代の超耐熱構造用材料として期待されている金属間化合物中の相分離過程とそれにより形成された多相組織中での転位の挙動を,主として電子顕微鏡により解析した.Ni_3(Al,Ti)系およびCo_3Ti系では,母相中に不規則fcc相が母相と整合に微細に分散し,塑性変形中に運動する超転位は不規則相中に引き寄せられ内部で分散拡張する.析出相内部から転位を引き出すには余分の力を必要とし,この相互作用によりクリープ変形に対するしきい応力が現れ,クリープ強度が著しく上昇する.TiAl(Ll_0)では炭化物と窒化物が,母相の一方向のみに針状に析出し,析出物の内部に,空孔と炭素・窒素原子の長周期規則構造が形成され,規則構造の変化により析出物の形態が変化する.析出硬化挙動は母相の化学量論組成からのずれに依存する.B2型金属間化合物NiAl中におけるCr析出相の成長速度も化学量論組成からのずれにきわめて大きく依存する.NiAl-Ni_2AlTi系,NiAl-Ni_2AlHfおよびNiTi-Ni_2AlTi系でも,格子ミスフィット,弾性異方性,逆位相境界エネルギー,化学量論組成からのずれなどにより析出相の形態と時効硬化性が大幅に変化し,金属間化合物に特有の拡散,相分離,格子欠陥挙動などが多数見いだされた.
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