研究課題/領域番号 |
09244104
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
金光 義彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (30185954)
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研究分担者 |
近藤 道雄 工業技術院電子技術総合研究所, 材料科学部, 主任研究官
武田 京三郎 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40277851)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | シリコン / 励起子 / 交換相互作用 / 共鳴励起発光スペクトル / サイズ選択励起分光 |
研究概要 |
本年度では、シリコンを骨格とするクラスターやナノクリスタルの励起子状態、そのなかでも特にスピン状態(励起子の交換分裂など)に関係した現象をサイズ選択励起分光を用いて明らかにすることを試みた。 表面構造の制御された試料(水素終端試料と完全に酸化された試料)を用いてその発光特性を研究した。共鳴励起発光スペクトル(発光スペクトル内を共鳴的にレーザーで励起)では、発光するナノクリスタルのサイズを選択的に励起できるため発光に微細構造が現われる。水素終端ポーラスシリコンでは、結晶シリコンのTOフォノンに対応した微細構造が現われる。さらに基板の結晶方向を反映した発光偏光特性を示す。これらの共鳴励起発光特性の結果は、水素終端ポーラスシリコンの発光は内部の結晶的な振る舞いを示し、酸化されたポーラスシリコンは、乱れた界面構造を反映した発光特性を示すことを示唆している。 水素終端ポーラスシリコンの発光は、結晶内部から生じている。このTOおよびTAフォノン構造に起因した発光ピークから励起子交換相互作用の大きさを評価した。ピーク位置は、レーザーのフォトンエネルギーに依存し、そのエネルギー差はバルク結晶と比較して大きい。また、レーザーエネルギーが高い場合は、小さなサイズの微結晶を励起している。この発光のストークスシフトの励起エネルギー依存性から、サイズの減少と共に励起子交換分裂は、大きくなり数ナノメートルの微粒子では20meV程度になることが分かった。さらに、発光寿命は非常に長く、数ミリ秒であり三重項励起子に特徴的なODMR信号も観測できた。この三重項励起子に特徴的な実験結果は計算結果とも一致しており、水素終端ポーラスシリコンの発光のストークスシフトは、励起子交換相互作用の大きさを反映していると結論した。
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