研究課題/領域番号 |
09244208
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山田 省二 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (00262593)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 磁気力顕微鏡 / 強磁性金属ドット / エッジ状態 / 磁壁 / 磁区 / クーロンギャップ / クーロン振動 / サブドット |
研究概要 |
本年度は、次年度以降の低温走査プローブ顕微鏡(SPM)装置(磁気力顕微鏡(MFM)又は、スピン偏極走査トンネル顕微鏡(STM))の試作に向け次の2つのことを平行して進めた。1)タイプの異なる2種類のMFMによる強磁性金属ドットの室温での磁区構造観察、および2)簡単な構造の低温STMの極低温動作試験。この内2)では、量子ホール状態でのエッジ状態のミクロ観察を試みつつ、非磁性仕様の確認、低温化に伴うスキャン範囲のずれや縮小の程度を調べた。その結果、エッジ状態の電流像と思われるイメージを観測できたが、像の再現性、解釈について検討の余地があり、今後さらに追試が必要である。又、特に1)からは、半導体細線に埋め込んだ強磁性ドットの磁区のダイナミクスについて重要な知見を得ることができた。即ち、作製条件に依存してかなり小さいサイズのドットでも内部に磁壁が存在しえて、適当な外部磁場を印加することによりそれを消失させ、単一磁区にできることがわかった。この結果は、直径、高さの異なる様々なドットのMFM測定においても確認された。この磁区のダイナミクスはドットを通過する電子輸送に反映され、磁壁の有無に依存した伝導特性の変化が観測できた。即ち、今ドットは十分に小さいため、クーロンブロケード現象が起こるが、印加磁場が0の状態のクーロンギャップが、磁場印加により約半分の大きさになることがわかった。また、クーロン振動も磁化前は不規則でゲート電圧の掃引方向に対し再現性に乏しかったが、磁化後は周期的でかつ再現性のある信号が観測できた。これらの結果は磁壁を抵抗壁として扱う古典的なモデル(磁化前は磁壁で分離された2つのサブドットとして伝導に寄与するのに対し、磁化後は大きさが約2倍の単一のドットとして振る舞う)で定性的に説明できることが分かった。
|