研究概要 |
本研究では,発展・進化可能性を有するソフトウェアを,基本構成要素を回路網状あるいは木構造上状に組み合わせることによって記述・表現し,扱う問題に応じて学習・適応・発展・進化させる方法論を確立することを目的としている.本研究では,基本構成要素として,1.しきい素子,2.演算子,3.関数,4.手続き,5.プログラムを扱い,マルチレベルの研究を遂行している.それぞれの場合について本年度の研究実績の概略を示す. 1.しきい素子:ユニット間の結合を近傍だけに限定した神経回路網であるACNNの進化的最適化法を確立し,仮想空間内での追跡問題に適用してその有効性を確認した. 2.演算子:四則演算子の進化的組み合わせ最適化に基づいて事例を汎化する方法を開発した. 3.関数:遺伝的プログラミングにおける関数記述の木構造に枝の強度の概念を導入した新しい手法を提案し,マルチエージェントの集団評価に基づく役割分担の発現に適用してその有効性を確認した. 4.手続き:環境入力として現在だけでなく過去の状況も考慮に入れる分類システムを提案し,不完全知覚に基づく迷路の最適経路決定問題及び仮想空間における追跡問題に適用して有効性を示した. 5.プログラム:それぞれが別のプログラムに基づいて自律的に判断を行う自律エージェントの集団を用いて人工株式市場を形成し,その株価変動を実際の株価変動の予測に用いる方法論について検討した. これらの研究成果の一部は,これまでに国際会議あるいは国内の学会などにおいて公表しており,世界的に注目されている.
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