研究概要 |
今年度は,高時間分解能TOFカウンターの開発として,「TOF用高速読出回路の開発」に重点をおき実用回路の設計試作,評価試験を行った。以下におもな研究項目,成果をあげる。 (1)BELLE実験用荷電時間変換型ADC回路の開発。 自己ゲート方式を採用して,ビームバックグランドによるノイズ信号を除外し,有効なTOF信号のみを選択し,かつ高速(1MHz)で読み出す回路を設計試作,ビームテストによる特性評価試験を行ない所定の性能を確認した。現在実機の製作を進行中である。 (2)RF信号同期型の高速TDCの開発。 時間拡大(タイムエクスパンジョン)方式を採用して,不感時間1マイクロ秒以下,高速高時間精度TDC回路を設計,試作試験を行い時間精度20ピコ秒以下の結果を得ている。実機製作を進行中である。 (3)TOF時間分解能に対するハドロン散乱の影響。 TOFカウンターでは,シンチレーター内でのハドロン散乱などのために,時間分解能が低下することが知られている。ビームテストを行い,そのデータを用いてGEANTモンテカルロ計算との比較解析を進めている。詳細はTime walk correctionの解析を進行中である。 (4)ファインメッシュ型光電子増倍管の磁場特性のモンテカルロシミュレーション解析。 測定データとモンテカルロシミュレーションとの比較解析により,ファインメッシュ型光電子増倍管のゲイン,時間応答特性の磁場依存性を研究している。 TOFカウンター実機の製作は10月末終了しビームテストが行われ磁場ゼロで80ピコ秒(磁場1.5テスラにおいて100ピコ秒)の時間分解能が得られている。
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