研究概要 |
都市全体の人間活動のゼロエミッション化を最終的な目標として、土木・建築事業の製品である都市の建設の街区単位における物資フローに関する基礎データの蓄積を行う。ここでは建設事業のうち、今後成熟した都市においてその比重が増していくと思われる既成市街地の再開発事業を取り上げ、建設・運用・廃棄段階を対象としたLCCO2を評価することにより、都市における地域構成の改良によるエミッションの削減に関する検討を行った。ここでは東京都内における3ケ所の市街地再開発事業を取り上げ、各地区について再開発前は住宅地図に基づき建物の外形を計算機に入力することにより延べ床面積を算出した。各地区の延べ床面積合計は建設前に比べて建設後は5倍ないし13倍以上になっており、敷地面積が大きいほど増加率が大きいことがわかる。 比較のため再開発後の建物用途を集合住宅と仮定してLCAを行った結果、解体・建設時を除いても再開発後の年間CO2発生量は再開発前の約4倍になる。一方、居住者1人あたりのCO2発生量は再開発前で473kg,再開発後の運用時で364kgとなる。再開発後の建物の寿命を30年,60年,100年と仮定すると解体・建設を考慮した再開発後のCO2発生量は535kg,449kg,415kgとなる。このため、再開発後の建物の寿命次第では1人あたりの住居のLCCO2の発生量を再開発前と同等に抑えられる可能性があることがわかった。
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