研究概要 |
地域における消費と,生産と消費をつなぐ物流に着目し,資源のエンドユーザーの方からゼロエミッションを実現するための社会システムについて研究したものである。 1.地域規模での資源・エネルギー収支と環境負荷のモデル化 家計や個人の消費行動に着目し,その前段の財・サービスの生産・流通段階,後段の廃棄段階において誘発されるエミッションの発生構造をモデル的に整理・考察した。特に食料及び農産物の消費に着目したゼロエミッション化について重点的に研究した。まず,戦後の食生活の変化が生産段階と流通段階への影響を定量化し、社会経済の変化との相関分析を行った。次に,福岡県を対象して,県内で消費される穀物,畜産品,水産品の生産・輸送に係わるエネルギー消費量を,・県内生産,・県外生産,・県内輸入,・県外輸入に分けて評価した。また特に米について,各都道府県の供給能力と需要・輸送距離を考慮した、輸送問題の最適化計算を行い、現状の国内輸送によるエネルギー消費との差を示した。 2.水系・物質系エミッションの処理システムの定量的評価 公共下水道,合併浄化槽(一般,Y ろ材型),し尿・雑排水の分離処理の4つの技術・システムを評価対象として,広域・集中型と個別・分散型のどちらが好ましいかという観点から技術導入の最適化手法の開発を試みた。そのためには,システム全体のライフサイクルにおける環境効果と経済性の両面における評価が必要となる。そこでLC-CO2(kg-C/人),処理水質(BOD,T-N),建設時間,水使用制限の制約条件のもと、目的関数である費用の最少化についてシンプレックス法を用いて試算した。 また,水系・物質系廃棄物を統合した都市代謝システムとして,ディスポーザーシステムについて,現行システムとのライフサイクル的視点からの比較を行い,その有効性評価を行った。
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