研究課題/領域番号 |
09247231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
有薗 幸司 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (70128148)
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研究分担者 |
石橋 康弘 長崎大学, 環境保全センター, 助手 (00212928)
池永 敏彦 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (10124819)
吉川 勲 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (80039528)
松田 芳郎 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (70039642)
武政 剛弘 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (70039684)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1997年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ゼロエミッション / 環閉鎖水域 / リン / 物質循環 |
研究概要 |
本研究では長崎県の大村湾沿岸部に面した県内の市町を調査対象とし、この地域をモデルとして環閉鎖性水域における物質のフローを解析し、生産物質循環管理システムを確立することを目的とした。長崎県の中央部に位置する大村湾は、佐世保湾を経由し外界と接する二重に閉鎖的な水理構造をとり、さらに佐世保湾とは2つの狭い瀬戸のみで通じている極めて閉鎖的な海湾である。大村湾を取り囲む3市8町を調査対象地域とし、工業、農業、漁業等の各種生産活動に由来する排水及び廃棄物の地域内動態や廃棄物排出実態、リサイクルの現状を調査した。調査結果より、大村湾の汚濁負荷の概況を調べ、問題点をあげた。また、大村湾に流入している河川からのリンの汚濁負荷量及び水産物として大村湾から除去されるリンの量からリンの動態を検討した。大村湾岸のエミッションは生活排水と工場排水によるものがほとんどを占めており、大村湾沿岸地域人口のうち生活排水処理人口は湾沿岸地域人口の51.1%であり、湾沿岸地域の下水道普及率は、県全体よりも高い39.8%となっている。しかし、生活排水の未処理率の割合も40%と高いので、大村湾の水質汚濁を解消させるためには、この未処理率を低下させることが重要である。大村湾における総リンの濃度は環境基準値以下であるが、年々増加傾向にある。特に、湾奥部が高くなっており、これは湾奥部は海水の交換が困難なこと、河川からの汚濁負荷が大きいことによるものであるが、湾奥部は水産物の水揚げも高く、リンの水産物への転換の可能性が示唆された。大村湾内においては、リンは河川からの流入が高いが、水産物として除去されており、その量は流入量がわずかに多い程度である。また、大村湾の水質データによるリンの量と流出入している量との差は、室内実験1、2)によって試算された大村湾の底質から溶出していると考えられるリンの量とほぼ一致しており、この差は底質からのリンの溶出分であると考えられる。河川からの汚濁負荷として流入しているリンはそのほとんどが水産物に転換されており、湾内においてのリンの収支は河川より流入している分がわずかに多いために大村湾の水質が徐々に悪化していることが明らかとなった。
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