研究課題/領域番号 |
09248202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 隆一 北海道大学, 理学部, 助手 (80192748)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 遺伝的多様性 / 保全生物学 / 絶滅危惧種 / 分子遺伝学 / 集団遺伝学 / 生物進化 |
研究概要 |
本研究の目的は、野生動物集団における遺伝的多様性の評価法を確立すること、ならびに、人間活動によって絶滅の危機に瀕するに至った動物集団や個体数が激増した動物集団の遺伝的特徴と進化的背景を理解することである。本年は、1.個体数が過度に増加したエゾシカの集団構造、2.人畜への被害をもたらすヒグマの集団構造、3.在来種ニホンイタチと移入種シベリアイタチの遺伝的関係、について分析した。 1.北海道全域におけるエゾシカ集団について、ミトコンドリアDNAの中でも進化速度の速いD-loop領域の塩基配列を分析したところ、6つのタイプを検出することができた。その中でも3つのタイプの頻度が高く、それらの分布は北海道における三大針葉樹林帯の分布とほぼ一致する傾向がみられた。これは、明治時代に絶滅の危機に瀕したエゾシカ集団が、個体数を激増させていったこと(ボトルネック)を反映している。 2.ヒグマについては北海道内において3つの遺伝子系列を把握することができ、それらの分布パターンは北海道の広大な森林分布に一致していたが、エゾシカとは異なり、明瞭な分布境界が認められた。これはヒグマの行動範囲が森林地帯に強く依存していることを反映している。 3.シベリアイタチは、昭和初期に人間によりアジア大陸から持ち込まれたといわれ、北九州・関西などの西日本を中心に野生化(帰化)し、在来種ニホンイタチの生息地を撹乱している。そこで、ミトコンドリアDNAに基づく地域変異を分析し、両イタチを分類する判別法を確立した。さらに、移入種シベリアイタチの多様性の低さからボトルネック効果が示唆された。
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