研究課題/領域番号 |
09248227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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研究分担者 |
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 電離放射線 / 染色体異常 / X線 / 細胞周期 / チェックポイント制御 / 染色体不安定性 / 分裂期 / セリン / スレオニンキナーゼ |
研究概要 |
電離放射線(以下、放射線と記す)は種々の染色体異常を誘発するが、照射後の生存細胞中にも異常染色体が出現する。酵母を用いた研究では、DNA損傷や紡錘体形成の不備があると、細胞はそれを認識して細胞周期を一時的に停止(チェックポイント制御)することが証明されている。そこで本研究では、放射線による染色体不安定性誘発機構を明らかにするため、異常染色体の出現にも最も密接に関わっていると考えられる分裂期(M)期の進行に関わるチェックポイント遺伝子の分離とその機能解析を行った。 まず、正常のチャイニーズハムスター胎児(CHE)由来細胞とp53遺伝子に突然変異を有するp53欠損細胞にX線照射すると、p53欠損細胞では多くの染色体異常を持つ細胞が出現することを発見した。そこでM期チェックポイント遺伝子を分離するために、X線照射したCHE細胞からM期細胞を集めてcDNAライブラリーを作製し、セリン/スレオニンキナーゼの共通配列を基に作製したregenerated primerを用いてキナーゼ遺伝子のクローニングを試みた。その結果、酵母のM期チェックポイント機能を担っているMPS遺伝子と高い相同性を有している、新規のキナーゼ遺伝子xik1(X-ray-induced protein kinase 1)が得られた。 一方、ラットcDNAライブラリーより同様の手法を用いて、M期進行に関わる新たな遺伝子AIM-1のクローニングに成功した。この遺伝子産物(AIM-1)はセリン/スレオニンキナーゼの一種であり、細胞周期のG2/M期で高い発現量を示した。遺伝子のN末から109番目のリジンをアルギニンに変えた不活型AIM-1(K/R)を導入した細胞では、細胞分裂を失敗して多倍体化現象を引き起こした。このような多倍体化細胞の出現は、放射線照射された細胞に高頻度で見られることから、AIM-1は放射線照射後のM期チェックポイントに密接に関わっているものと思われる。
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