配分額 *注記 |
18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
1999年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1998年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1997年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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研究概要 |
1.長崎県全体を対象とし、妊婦の抗HTLV-1抗体スクリーニング,キャリア妊婦に対する母乳哺育回避教育,キャリア母親から出産した児の追跡調査を始めて,平成11年で12年を経過した. 2.母乳哺育児のHTLV-1母子感染頻度は,20〜30%と推定されるが,母乳回避により母子感染の80〜90%を防止できた.すなわち,母乳を介した母子間感染がHTLV-1の主要な感染経路であることを最終的に証明した. 3.HTLV-1は,約3%の人工哺育児に母子感染する.この感染経路は,臍帯血検査から子宮内感染分娩児感染を強く疑うが,未だ明らかでない. 4.短期間の母乳哺育でも感染率は,人工栄養に比して高く,短期間の母乳哺育は,感染頻度を約2/1に下げるものの人工栄養に比して感染の危険性が高い. 5.このまま経緯すると,長崎県のHTLV-1地域内流行は,次世代に全国レベルまで下げることが可能と期待できる. 6.小児の経過追跡を6ヶ月毎に行ってきたことにより感染の判定時期が判明したので,2歳時点で感染のチェックをすることに変更した. 先進国のHTLV-1流行地は,日本に限られるといってよい.ATLが不治の病であることを考えると,HTLV-1の感染防止は,日本が率先して取り組むべき課題である.この種の研究は,最初は比較的華々しいが,時間の経過と共に目にみえる研究の進行は遅くなる.人間を相手とする研究だけに,それなりの時間を必要とする.しかしながら,障害を乗り越えて確保されたフィールドを潰してしまうと,再建することはほとんど不可能である.HTLV-1の地域内流行の将来を見守るためには,今後も長期間の追跡調査を続ける必要がある.
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