研究課題/領域番号 |
09253202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
李 康弘 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10261405)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | マウス / 肺発癌 / 遺伝 / 感受性遺伝子 / 耐性遺伝子 / Kras2 |
研究概要 |
A/JマウスはC3H/HeJ(C3H)マウスに比し、ウレタン誘発肺発癌に約350倍高感受性である。この形質差は、主に第6染色体の優性感受性遺伝子Pas1により決定されることが既に判っている。一方、BALB/cByJ(BALB)マウスは、AとC3Hの中間的形質を示す。本年度は、このBALB特有の発癌感受性を遺伝学的に解析し、以下の諸点を明らかにした。 1.BALBマウスは、Aマウスと同様の優性の肺発癌感受性遺伝子Pas1(Pulmonary adenoma susceptibility 1)を第6染色体上に有するとともに、優性の肺発癌耐性遺伝子Par2(Pulmonary adenoma resistance 2)を第18染色体上に有する。つまり、BALB特有の中間的感受性はPas1とPar2の相互作用により規定されている。 2.BALBのPas1は二段階発癌過程におけるプロモーションを亢進するのに対し、Par2はイニシエーションを抑制する。 3.BALBのPas1はウレタン誘発肺腫瘍におけるKras2癌遺伝子の活性化頻度を上昇させる。 BALBマウスが優性の肺発癌感受性遺伝子とともに優性の肺発癌耐性遺伝子を有するであろうことは、我々の昨年度の研究により既に示唆されていた。本年度は、BALBとC3Hの分離交配マウスを連鎖解析することにより、この仮説を直接的に証明した。また、我々は、以前より発癌感受性遺伝子にはイニシエーション、あるいはプロモーションに特異的に作用するものが存在すると主張してきたが、Pas1とPar2はその具体例であることが明らかになった。一方、BALB由来Pas1の存在は発生腫瘍のKras2遺伝子活性化頻度をC3H由来Pas1に比べ、大幅に増加させることも明らかとなった。この現象は、Kras2がPas1の候補遺伝子として目されていることを考慮すると非常に興味深い。
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