研究概要 |
(1) ジシストロニックmRNA構造をもつcDNAの作成:HCVIRESとして遺伝子型1bおよび2bRNAの5'末端から、それに続くコア蛋白の69塩基までのRNA領域を使用した。第1シストロンにCAP依存的に翻訳されるCATmRNA、第2シストロンにはHCVIRES依存的に翻訳されるように設計したβ-gal mRNAをもつジシストロニックmRNAのcDNAを作製した。このジシストロニックmRNAの発現がCAGプロモーターによりコントロール可能なプラスミドを構築し、HeLa細胞にトランスフェクション法により導入したところCAT及びβ-gal両活性が検出された。 (2) 組換え体アデノウイルスの作製:このmRNAの発現系としてアデノウイルスベクター(Adex1w)を利用した。遺伝子型1b,2bともにそれらIRESをもつ組み換えアデノウイルスを作製することが出来た。 (3) 培養細胞におけるレポーター遺伝子発現量の測定:培養栽培として、HeLa,AGMK,HepG2細胞を用いた。これら細胞に上記組換え体アデノウイルスを感染させたところ、CATおよびβーガラクトシターゼの両酵素活性を検出することが出来た。この酵素活性はウイルスの感染価に伴って変化し、また感染時間によっても変化した。このような結果は、CAT活性に対する相対的なβ-gal活性を比較することで各種IRES活性の比較を行える可能性を示している。 さらにHeLa細胞においては、換えアデノウイルス感染後の個々の細胞におけるレポーター遺伝子(CAT及びβ-gal)の発現量を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて定量化する系を確立した。
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