研究課題/領域番号 |
09253214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 正孝 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 教授 (30180392)
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研究分担者 |
大谷 清 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 講師 (30201974)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1997年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | HTLV-I / Tax / ATL / トランスアクチベーション / E2F / 細胞周期 |
研究概要 |
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)は成人T細胞白血病の原因ウイルスである。HTLV-IのコードするTaxが癌化の主因で、細胞側の種々の遺伝子発現を促進する。影響を受ける遺伝子の産物は、増殖シグナル伝達に関与しているものが多い。今までに細胞の転写因子の内で、NF-κB、SRF、CREB/ATFがTaxの作用を受けることが知られている。本研究で我々は、新たにTaxがE2Fを活性化することを見い出した。E2Fは細胞周期がG1期がS期に進行するのに必須の転写因子でG1/S期に関与する多くの遺伝子の発現を制御している。E2F結合サイトを持つG1/S期関連遺伝子群のプロモーターを、ルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポーターアッセイで測定したところ、Taxの発現により例外なく活性化された。さらに、E2F結合サイトに変異を導入するとTaxの作用はみられなくなり、TaxがE2Fを介してこれらの遺伝子の発現を誘導していることが明らかとなった。Taxが活性化する今までに知られていた3種の転写因子のうち、NF-κBを活性化することのできるTaxの変異体のみがE2Fを活性化した。従って、NF-κBの経路がTaxによるE2Fの活性化に関与している可能性が高い。これらの結果は、Taxが細胞周期の進行を通じて、より直接、細胞増殖に関与していることを示唆し、HTLV-Iによる発癌機構の解明に重要な知見となる。
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