研究課題/領域番号 |
09253219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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研究分担者 |
山下 成人 三重大学, 医学部, 助手 (40263024)
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 炎症 / スーパーオキシド / 一酸化窒素 / ニッケル化合物 / DNA損傷 / ペルオキシナイトレイト / 発がん |
研究概要 |
慢性感染や慢性炎症のある組織では、活性化したマクロファージや好中球からスーパーオキシド(O_2)^-のみならず一酸化窒素(NO)が生成されており、NOの発がんへの関与が考えられる。本研究ではNOおよび酸素ラジカルによる酸化的DNA損傷およびその機構について以下の諸点を明らかにした。(1)NO、O_2^-同時発生試薬では細胞内の酸化的DNA損傷(8-OH-dG)が増大したが、NO発生試薬だけでは変化しなかった。種々の発がん性ニッケル化合物は好中球および活性化マクロファージからのO_2^-、NO生成を促進した。ニッケル化合物で活性化したマクロファージとセルセパレーターを用いてニッケルを直接暴露させない様にco-incubationした細胞内で8-OH-dG生成が増加した。8-OH-dG生成量と炎症細胞からのNOおよびO_2^-生成量が相関したため、この細胞内8-OH-dG生成増加に、NOとO_2^-の関与が与えられた。ニッケル化合物の発がん機構として炎症を介した酸化的DNA損傷の関与が示唆された。(2)単離DNAを用いた実験では、NO発生試薬とO_2^-発生系の共存下においてDNAは酸化的に損傷され、8-OH-dGも生成した。DNA損傷の塩基特異性は無く、活性種は、NOとO_2^-が反応して生成したペルオキシナイトレイト(ONOO^-)関連の物質と考えられた。(3)発がん性が指摘されているAmesテスト陰性の環境化学物質が、金属や生体内還元物質の存在下において活性酸素を生成しDNAを損傷した。このような環境化学物質の直接的な酸化的ストレスによるDNA損傷のみならず、環境化学物質により活性化された炎症細胞由来の活性種による間接的なDNA損傷およびそれらの相互作用によるDNA損傷の検討も必要である。現在、様々なO_2^-生成系と活性化マクロファージからのNOを用いてNOとO_2^-およびONOO^-による細胞傷害性を検討中である。
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