研究課題/領域番号 |
09253235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣田 誠一 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (50218856)
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研究分担者 |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | c-kit / 消化管間葉細胞腫 / 機能獲得性突然変異 / 腫瘍化 |
研究概要 |
v-kitはネコの線維肉腫の原因がん遺伝子として分離されたが、その正常ホモローグであるがん原遺伝子c-kitは受容体型レセプターチロシンキナーゼとしての細胞分化に関する側面が主に研究されてきた。c-kitのリガンドはstem cell factor(SCF)であり、SCF-c-kitシステムはメラノサイト・マスト細胞・赤血球・生殖細胞さらには消化管の自律運動を調節しているカハールの介在細胞の分化に必須であることが明らかにされた。最近になり、マスト細胞の腫瘍化にはc-kitの機能獲得性変異が関与していることが示され、c-kitのがん化との関連が注目されだした。本研究ではカハールの介在細胞の腫瘍と考えられる消化管間葉細胞腫の発生にc-kitの機能獲得性突然変異が関与するかどうかを明らかにすることを目的とした。新鮮材料の得られた6例の消化管間葉細胞腫についてcDNAのシークエンスを行った。6例のうち5例にそれぞれ異なるc-kitの傍細胞膜領域の突然変異がみられた。これらの突然変異を持つc-kitcDNAをIL-3依存性に増殖するマウス前リンパ球培養細胞株Ba/F3細胞にトランスフェクトすると、細胞株はIL-3がなくても自律的に増殖するようになり、ヌードマウスの皮下に移植すると腫瘍を形成した。変異型c-kitのチロシンキナーゼ活性を調べると正常に比して強い活性を示した。以上の結果から、消化管間葉細胞腫の発生にはc-kitの傍細胞膜領域での機能獲得性突然変異が重要な役割を果たしていると考えられた。マスト細胞の腫瘍化にはキナーゼ領域の機能獲得性突然変異が重要であることから、同じc-kitの機能獲得性突然変異でも異なる細胞腫の腫瘍化には異なる領域の突然変異が関与していると考えられ、このメカニズムについては今後さらに検討を要するものと考えられた。
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