研究課題/領域番号 |
09253246
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高山 哲治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10284994)
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研究分担者 |
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | GST-π / 大腸癌 |
研究概要 |
我々はこれまで、GST-pが大腸癌や腺腫はもとより、その前病変と考えられているACFにおいても既に発現増加していることを見出した。本研究では、GST-pの発現が大腸癌の形成過程に何らかの役割を果たしているものと想定し、GST-pのACF形成における意義を検討し、以下の結果を得た。(1)まず初めに、azoxymethane投与による発癌モデルに、GST-πの特異的阻害剤であるγ-Glutamyl-S-(benzyl)cysteinyl phenylglycineを投与したところ、投与群(14.3±3.1個/匹)では対照群(5.7±2.5/匹)に比べてACFの形成は有意に抑制された。(2)正常二倍体細胞(HEL)とGST-π発現の高いras遺伝子導入細胞(HEL/ras)を二次胆汁酸(deoxycholic acid 300mg/ml)で処理した後、TUNEL法にてアポトーシスを検討したところ、それぞれ19.5%と5.8%にapoptotic bodyを認め、GST-pi発現によりアポトーシスが抑制されることが示唆された。一方、GST-piの特異的阻害剤にて予め細胞を処理すると、apoptotic bodyはそれぞれ36.9%と9.4%に増大した。(3)HEL/ras細胞を活性酸素消去剤であるN-acetylcystein(7.5mM)で予め処理した後にDCA処理すると、生細胞数は34.0%から62.5%に増加した。つまり、GST-πによるアポトーシス抑制の機序は、その活性酸素を消去する作用によることが示された。以上の実験結果より、以下の結論が得られた。(1)大腸粘膜上皮においてGST-pの発現はACFの形成に促進的に働く。(2)GST-piは、二次胆汁酸により誘導される大腸粘膜上皮のアポトーシスを抑制する。(3)GST-πは胆汁酸により産生される活性酸素を消去することによりアポトーシスを抑制する。我々は、以上のことを再確認するためにGST-pi knock out mouseにazoxymethaneを投与し、大腸に形成されるACFを検討中であり、これらの実験結果を近々明らかにする予定である。
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